耳鼻咽喉科・健康コラム|好酸球性副鼻腔炎

病院のお話・健康コラム

好酸球性副鼻腔炎

耳鼻咽喉科

耳鼻咽喉科医長  小林 茉莉子

慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の中に、治りにくい慢性副鼻腔炎があるのをご存知ですか?

 

日本の慢性副鼻腔炎の新規の患者さんは年間約100~200万人(総人口の0.8~1.6%)で、約100人に1人の割合になります。その中で治りにくい慢性副鼻腔炎の患者さんは約2万人いるとされています。

 

治りにくい慢性副鼻腔炎は嗅覚障害(匂いがわからない)を伴うことが多く、鼻茸(鼻ポリープ)ができやすいのが特徴です。鼻茸が大きくなると鼻閉(鼻づまり)症状がひどくなります。手術をしてもすぐに再発してしまいます。

 

このような治りにくい副鼻腔炎を、「好酸球性副鼻腔炎」といいます。

 

好酸球は白血球の一種で、アレルギーで増えます。好酸球性副鼻腔炎は、アレルギーによる炎症が副鼻腔に起き、好酸球が集まってくることで発症します。好酸球性副鼻腔炎の患者さんの多くが喘息を併発しています。好酸球性副鼻腔炎は難治性のため指定難病になっています。

 

好酸球性副鼻腔炎を疑う患者さんに当院で行っている検査や治療をご紹介します。

 

症状や既往歴についての問診を行い、内視鏡を用いて鼻汁と鼻茸の性状を確認します。CTで副鼻腔の病変の広がりを調べます。血液検査で血液中の好酸球の割合を調べます。外来での鼻茸の生検、または手術で採取した鼻茸の中に基準より多くの好酸球が認められるか調べます。

 

続いて治療です。好酸球性副鼻腔炎を疑う場合、まず手術を行い、その後薬物療法を行うことが多いです。

手術方法は慢性副鼻腔炎と同じですが、慢性副鼻腔炎ではほぼ完治するのに対して、好酸球性副鼻腔炎では手術後5~6年の間に約半数の人が再発するとされています。

薬物療法は抗アレルギー薬やステロイド薬を使います。ただしステロイド薬の飲み薬(経口ステロイド薬)を長期間使うと、骨がもろくなったり、免疫の働きが低下するなどの副作用が起こることがあります。そのため、好酸球性副鼻腔炎の治療では、患部だけに効果を発揮し、長期間使っても副作用が出にくい点鼻薬が多く使われています。

 

新たな治療薬として分子標的薬の「デュピルマブ」が登場し、2020年3月に健康保険が適用されました。デュピルマブは、炎症の原因となる分子が副鼻腔の粘膜の細胞にある受容体に結合しないようにすることで、副鼻腔に炎症が起こるのを防ぎます。自己注射で使用するタイプの注射薬で、好酸球性副鼻腔炎の新たな治療法として期待されています。当院でも重症な患者さんに投与を始めています。

 

近隣のクリニックと連携し、検査・治療に当たっております。是非ご相談ください。

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