耳鼻咽喉科・健康コラム|顔面神経麻痺と顔面神経減荷術

病院のお話・健康コラム

顔面神経麻痺と顔面神経減荷術

耳鼻咽喉科

耳鼻咽喉科医長  森下 大樹

【症状と原因】

末梢性顔面神経麻痺は、ある日突然に朝起きたら急に顔が動かない、目が閉じない、口に含んだ水がこぼれる、口が動かずうまくしゃべれない、などの症状が出ます。顔を動かす筋肉(顔面表情筋)を司る顔面神経がダメージを受けて麻痺するからです。

原因の多くは、普段は神経の奥底に潜んでいる単純ヘルペス・水痘帯状疱疹ウイルスが、免疫力・抵抗力が下がったときに再活性化することです。


【治療】

顔面神経は顔面神経管という骨の筒の中を走っており、ダメージを受けるとむくみ、自らを絞めつける(絞扼)ことで麻痺します。治療には、むくみをとるためにステロイドを投与します。また、ウイルスの増殖を抑える抗ヘルペスウイルス薬を使います。

軽症の方は内服で外来通院も可能ですが、副作用の懸念から、ステロイドは多くの量が使えません。したがって、中等症~重症の場合は、入院で点滴の治療(7~10日間)を行います。その他、血流改善薬や神経を栄養するビタミンを投与します。また、酸素の吸入やリハビリの指導も行います。

 

顔面神経麻痺は、発症7~10日目に最も悪化します。発症後、出来るだけ早期(2週間以内)に治療を開始することが重要です。発症7~10日目に行う誘発筋電図検査を行うことで、薬物治療のみで今後どの程度良くなるのか(予後)が分かります。重症かつ誘発筋電図検査で予後が悪いと考えられる場合は、手術(顔面神経減荷術)という選択肢があります。

 

【顔面神経減荷術】

顔面神経減荷術は、耳の後ろの骨(側頭骨)の中にある、むくんだ顔面神経を包んでいる骨を外して、除圧する手術です。また、ステロイドを染みこませた吸収性スポンジを留置し、ステロイドが顔面神経に直接浸透するようにします。

 

手術方法:側頭骨を削開し、顔面神経管の表面の骨を除去することで、顔面神経を開放します。この際、操作しやすくするために耳小骨(音を伝える骨)の連鎖を外す場合があります。外した場合は、最後に連鎖を元に戻します。

手術時間は3時間程度で、全身麻酔が必要です。

 

顔面神経減荷術の合併症として、最もネックになるのが「聴力低下」です。これは耳小骨を外す操作を行うと、一定の確率で生じてしまいます。しかし、当科では耳小骨を外さずに、温存しながら顔面神経を開放する方法を採用しています。90%以上の症例で耳小骨を外さずに行うことが可能です。

 

顔面神経減荷術は、発症1ヶ月以内の施行が望ましいと言われています。

 

当科では、薬物治療を行いつつ、誘発筋電図検査で今後の予後を見極め、手術の適応がある場合は患者さんとよく相談し、手術するかどうかを決定します。手術を希望される場合には、なるべく早期かつ合併症を抑えられる方法で減荷術を行います。

 

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