産婦人科・健康コラム|無痛分娩の痛みなどについてのお話

病院のお話・健康コラム

無痛分娩の痛みなどについてのお話

産婦人科

産婦人科統括部長 土居 幹

当院では無痛分娩(麻酔分娩)を行っています。2016年6月に分娩を再開し、2017年195件の分娩のうち25件(12.8%)、2018年は185件のうち27件(14.6%)の無痛分娩がありました。日本では、全分娩のうち約5%が無痛分娩で、近年増加傾向といわれています。

アメリカとフランスは、無痛分娩が多い国として知られ、アメリカ全体では無痛分娩率は73.1%、フランスでは2016年に82.2%まで上昇しました。一方、イタリア(20%)やドイツ(20-30%)、ギリシャ(20%)は比較的無痛分娩率が低く、欧米でも国により状況が大きく異なる様です。

無痛分娩の麻酔は、硬膜外鎮痛法で、無痛分娩のみに用いられる方法ではなく、手術や手術後の痛み止めの目的で日常的に使われている方法です。脊髄と呼ばれる痛みを伝える神経の、硬膜外腔に薬を投与するため、鎮痛効果が高く、薬が胎盤を通って赤ちゃんへ届くことがほとんどないことから、多くの国で無痛分娩に用いられています。

無痛分娩自体は、決して新しいものではありません。私が北里大学病院に勤務していた1995年頃、既にこの方法の計画無痛分娩で、1日4~7名がお産されていました。薬剤や投与法の進化はありますが、基本は変わっていません。

海外に比べて、なぜ日本では無痛分娩がそんなに普及していないのでしょうか。

それは無痛分娩による事故や、副作用などについてのニュースが報道されたことが大きいと思います。他に、施設が限られている、計画分娩になる、費用がかさむ(当院では+10万円)、まだ日本では「自分のお腹を痛めて産む」意識が強いこと等の背景もあるようです。

当院の安全対策としては、総合病院ならではの、麻酔専門医による無痛分娩を行っており、緊急時には救急科を始め、必要な応援が得られることです。当院も計画無痛分娩としています。これは医療スタッフが充実している日中の分娩を目指し、安全性を確保するという観点から行っています。

無痛分娩のメリットは、お産の痛みが軽くなり、ひどい痛みをあまり感じずに分娩に至ることです。「疲労が少なかった」「産後の回復が早かった」という感想も聞かれます。

ご質問等がありましたら、担当医師にお気軽にお尋ね下さい。

参考文献:日本産科麻酔学会(JSOAP) ホームページ無痛分娩Q&A

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